やさしい税務会計ニュース
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文書作成日:2025/10/14
スキマバイトの源泉徴収票に記載された「丙欄適用」の意味

[相談]

 私は先日、飲食店での日雇いアルバイト(いわゆるスポットワーク(スキマバイト))を初めて経験しました。
 後日、そのスポットワークに係る雇用仲介アプリの運営会社から「給与所得の源泉徴収票」を取り寄せたのですが、内容を確認したところ「丙欄適用」という記載があり、この「丙欄」が何なのか分からず困っています。
 そこで、その「丙欄」とは何なのか、概要を教えてください。

[回答]

 ご相談の場合のように、源泉徴収票に「丙欄適用」と記載されている場合には、その日雇いアルバイトにかかる給与等が所得税法上の「日雇賃金」に該当するものであり、その給与等に係る源泉所得税(および復興特別所得税)が、給与所得の源泉徴収税額表(日額表)の「丙欄」により算出されたことを示しています。詳細は、下記解説をご参照ください。

[解説]

1.給与等を支払う際に徴収する源泉所得税額の求め方の概要

 所得税法上、賞与以外の給与等について所得税の源泉徴収義務の規定により徴収すべき所得税の額は、給与等の区分(※1)に応じてそれぞれ定められた税額とすると定められています。

 具体的には、給与所得の源泉徴収税額表(月額表および日額表)を使って求めることとなります。

※1 月ごとに支払われる給与なのか、毎日支払われるものなのか、日雇賃金なのか、など

2.所得税法上の「日雇賃金」の定義

 上記1.の「日雇賃金」とは、日々雇い入れられる人が支払を受ける給与等で、労働した日又は時間によって算定され、かつ、労働した日ごとに支払を受ける給与等(※2)をいいます(※3)。

※2 その労働した日以外の日において支払われるものも含みます。

※3 ただし、1ヶ所の給与等の支払者から継続して2ヶ月をこえて支払を受ける場合におけるその2ヶ月をこえて支払を受けるものは除かれます。

3.日雇賃金にかかる源泉徴収税額の求め方

 所得税法上、上記2.の日雇賃金にかかる所得税(および復興特別所得税)は、給与所得の源泉徴収税額表(日額表)の「丙欄」を使って求めることと定められています。

 したがって、今回のご相談の場合のように源泉徴収票に「丙欄適用」と記載されている場合には、その日雇いアルバイトにかかる給与等が上記2.の「日雇賃金」に該当するものであり、その給与等に係る源泉所得税(および復興特別所得税)が、給与所得の源泉徴収税額表(日額表)の「丙欄」により算出されたことを示しています。

 なお、給与所得の源泉徴収税額表(日額表)の「丙欄」では、その日の社会保険料等控除後の給与等の金額が9,300円未満までは、源泉徴収税額は0円となっています。

[参考]
所法185、所令309、別表第3、所基通185-8など

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
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