前回は「クリニック・診療所等の個人経営病院における経理事務」
についてお話しましたが、
今回は「病医院における交際費と他費用との違い」について
お話させていただきたいと思います。
「交際費」については以前にも書きましたが、
まずその範囲をしっかりと認識することが
大切になってきます。
「事業に関係ある者等」とは、
直接的に取引関係のある者だけでなく間接的に利害関係のある者、
および役員、従業員、出資者等の事業の内部の者も含まれます。
また、交際費と福利厚生費、給与等、寄附金等の隣接する費用との
区分もしっかり理解する必要があります。
交際費と他費用の区別
病医院の実務で交際費と混同しやすいものは、
家事費、福利厚生費、広告宣伝費、会議費、給与、寄附金などが存在します。
交際費に当たるのかどうかは、
接待費の相手方や接待の理由、経費の内容や金額などで判別します。
たとえば、家事費と交際費の区別について、個人が支出する費用には、
1. 「家事費(家計上の経費)」・・・自己の生活費2. 「家事関連費」・・・医院併用住宅の減価償却費、火災保険料、水道光熱費など
3. 「事業上の経費」
の3つにわけられます。
事業所得の計算上、(1)(2)の家事上の経費相当額は経費になりませんが、
(2)(3)の事業上の経費相当額部分は経費となるのです。
具体的な家事費と交際費
・医師の仲間に対する個人的な結婚祝いや香典、病院新築お祝い→家事費
・医師会の定期総会の事業上必要のない二次会→家事費
・医師会の定期総会の会合費→交際費
また、寄附金と交際費の区分については、
法人税法で、交際費とは得意先や仕入先、
その他事業に関係のある者に対する接待、供応、慰安、贈答などの行為のために
支出する費用のこととされ、
寄附金とは金銭、物品その他経済的利益の贈与または無償の供与のこととされます。
つまり反対給付の有無、見返りの有無で判断するとよいでしょう。
次回は「医療法人化に伴う可処分所得の変化」について