前回は「医療法人の内部留保」についてお話しましたが、
今回は「社会保険診療報酬の源泉徴収」について
お話させていただきたいと思います。
社会保険診療報酬の源泉徴収はどうなっているのですか
という質問を受けることがあります。
「源泉徴収」とは一年間に支払う分の所得税を
あらかじめ毎月の所得から概算して差し引いて納税することをいいます。
働いている従業員に対して、事業主が行う源泉徴収の他に、
医院の収入分として源泉徴収されるものがあります。
それが、社会保険診療報酬分として医院に行う源泉徴収です。
ポイント1
個人経営の医院では患者の診療を行った際、
自己診療ではなく社会保険診療を行った分に対して
社会保険診療報酬支払基金へ医療費の請求書を送付します。
そして、社会保険診療報酬支払基金は、
各健康保険組合へ診療報酬請求を行い、
医院の代わりに医療費を受け取り、
医院などに医業収益を毎月一定の期日までに計上するのです。
この医業収益は、
医院などの社会保険診療報酬分の所得として所得税がかけられ、
毎月支払われる金額から20万円を差し引いた額の約1割が
自動的に源泉徴収されます。
ポイント2
この源泉徴収制度は「所得税」に対して行われるものであり、
個人医院が医療法人になった場合には、「法人税」となるために、
医療法人の病院や歯科医院に対して源泉徴収は行われず、
毎月の収益から税金を引かれることがなくなります。
次回は「クリニック・診療所の開業に必要となる届出と申請について」