
2020年7月から始まった自筆証書遺言書保管制度(以下、保管制度)ですが、どの程度利用されているのでしょうか。ここでは、法務省の資料から、自筆証書遺言書の保管申請件数の推移をみていきます。

保管制度は、自筆証書遺言書の保管を法務局へ申請できる制度です。この制度を利用することで、自筆証書遺言書を自宅で保管しているときに起こるかもしれない、紛失、改ざんや隠ぺいのリスクをなくすことができます。また、遺言者の死亡後、相続人が自筆証書遺言を発見すると、家庭裁判所で検認の手続きをしなければなりませんが、保管制度を利用すると、検認の手続きが不要となります。

この保管制度の利用状況について、法務省がまとめている資料(※)から月ごとの自筆証書遺言書の保管申請件数をまとめると下表のとおりです。

保管制度が始まって2年が経過しましたが、月ごとの保管申請件数をみると、制度開始当初の2ヶ月は2,000件を超えました。その後2020年10月を最後に、2,000件を超える月はなくなっています。これまでのところ最も保管申請件数が多かったのは、制度が始まった2020年7月の2,608件という状況です。
月ごとの比較では、1月と2月の件数が他の月よりも少なくなっていることがわかります。
その他、各年の1ヶ月平均保管申請件数をみると、2020年は2,105件、2021年には1,417件、2022年は8月までの結果ですが1,335件と、減少傾向にあります。
自筆証書遺言書の保管申請件数は、保管制度開始直後からは少なくなっていますが、保管制度の認知がさらに進めば、利用も増えることが考えられます。
(※)法務省「自筆証書遺言書保管制度 12 法令・関連情報・リンク集」
このページにある「利用状況(令和4年9月)」より作成しました。保管制度の詳細は、同省の「法務局における自筆証書遺言書保管制度について」というページをご覧ください。
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